One Direction 〜自分を信じて進む者たち〜
ー第4回ー 森山真祐子さん
【経歴】
森山真祐子(もりやままゆこ)
1987年6月17日。東京都出身。明治大学情報コミュニケーション学部卒業を2010年に卒業。卒業してすぐにカンボジアに来て、クロマーマガジンにてインターンを始める。インターン時代にウェブに興味を持ち、インターン後はフリーでウェブデザイナーを始める。現在は、オーストラリアにてワーキングホリデー中。
■内定を蹴ってまで、カンボジアへ
齊藤:今回は、第4回目になります!ぜひ、今回もお話を楽しみにしていますので、よろしくお願いします!
森山:よろしくお願いします!
齊藤:早速ですが、カンボジアに来たのはいつなのでしょうか?
森山:卒業してすぐなので、2010年ですね。最初は、クロマーマガジンという会社にインターンとして来ました。
齊藤:クロマーマガジンというと、旅行者向けにガイドブックを無料で配布されている会社ですよね?
森山:そうですね。
齊藤:なぜカンボジアという国だったのですか?
森山:卒業間際に、急に日本以外の国で働きたいと思ったのがきっかけです。もともと東京の企業から内定をもらっていたんですが、なんでその会社に応募したのかというと、自宅から通いやすい場所にあって、無理なく働いている様子がイメージができたからなんですね。当時私はまわりの人よりも就職活動を長引かせていて、気持ちが保守的になっていたからか、そういう選び方をしたんです。でも卒業が近づくにつれて考え方が変わってしまって。卒業って、自分の暮らしを大きく変えるチャンスなのに、いつまでも東京に住み続けるのがもったいない気がしてきたんですね。それで、そうだ日本を出よう!って(笑)。
私はほとんど海外旅行とかをしたことがなかったし、英語も喋れないけれど、とりあえず何か無いか探そうとおもって、日本人が多そうな国の名前を検索したんです。すると、海外で日本語のフリーペーパーを作成している会社がヒットして、ひょっとしたら日本語のフリーペーパーって色んな国にあるんじゃないかと探していたら、たまたまクロマーマガジンが出てきたというわけです。
齊藤:なぜそこでカンボジアを選んだのですか?
森山:全くイメージがない国だったんですが、なんとなく面白そうだと思ったんですよね(笑)。
齊藤:学生時代は、どこにも海外旅行に行ったことなかったんですか?
森山:インドに7日間行ったんですが、初心者二人だったので、安全そうなパッケージツアーを利用しました。そのときにインドのゴチャゴチャ感というか、街の感じというか・・・そういうのが心を掴んだんですよね。もう、そこに住んでもかまわないくらい居心地よく感じました。でも「もっと、あそこ見てみたい!」と思っても、安全の理由からほとんど自由行動がなかったので、帰るときは本当につらかったです・・・。その時に、次海外に行くときは自分の足で回りたいと思ったんです。
齊藤:もしインドに行かなかったら、カンボジアに来なかったと思いますか?
森山:いや、そこまで必須というわけじゃなかったです(笑)。
齊藤:(笑)。ちなみに、フリーペーパーにもともと興味があったんですか?
森山:いや、あんまり。それよりも、私は大学の時の研究テーマが、「出産」だったんですね。なんで猫などの動物は、バンバン子どもを産むのに、人間(特に日本)は産まないんだろう?って気になっていたんです。それで卒業後もそういった研究がしたかったんですが、結局進学ではなく就職を選びました。就職活動をし始めの頃は、「人の新しい暮らし方」みたいなのを作り出せそうな会社に行きたいと思っていました。
齊藤:例えばどんな会社に行きたいと思っていたんですか?
森山:代々木公園でやっている「アースデー」に行って、そこで有給スタッフとして雇ってもらえそうな会社やNGOを探して応募しました。でも、そういう社会的な運動をやっていて、しかも利益を上げるって並大抵のことではないので、みなさんボランティアとして携わったり、もし有給スタッフの場合だったら即戦力がなくちゃだめなんだなとわかりました。それで諦めました。
齊藤:となると、ご自身の就職活動でのテーマはなんだったのでしょうか?
森山:何度か方針変更しましたが、最終的には「何かを世間の人に広める方法を身につける」ということを選びました。そういった方法が身に付いていたら、後々、他の会社やNGOでも即戦力になるんじゃないかと思ったので。
齊藤:なるほど。クロマーではどれくらい働いていたんですか?
森山:7ヶ月間ですね。その後は日本に帰国しました。
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■ウェブの必要性を感じる
齊藤:なぜ帰国されたのですか?
森山:日本で就職しようと考えていたので・・・。結局、日本では就職しなかったんですけどね。
齊藤:その時はどんな会社を目指していたんですか?
森山:ウェブページの制作会社に入社しようとしていましたね。
齊藤:ウェブですか?フリーペーパーとは随分違いますが・・・?
森山:インターン時代、最初はフリーペーパーの編集をやっていたのですが、途中で志願してウェブを担当していました。当時のクロマーマガジンは、ウェブの活用が十分でなく、そのことを勿体無いなと思っていたんです。せっかく素晴らしい情報を持っているのに、上手く発信できていない!って。紙媒体だけでなくウェブも利用すれば、日本からでも情報を得ることができるわけです。そこに面白みを感じました。
7ヶ月の間にシェムリアップに住んでいる色々な日本人の方にお会いしました。その時に口を揃えていうのが、「ウェブが欲しい」ということだったんです。良いものがあっても、上手に発信できていない現状があった。だから、やりたいって思ったんです。
齊藤:日本に帰国後、カンボジアに戻ってきたのはいつごろなんですか?
森山:2011年の夏ごろですね。
齊藤:なるほど。その時と今では、やっぱり提供できる質は違うと思いますか?
森山:もちろんです、もともとウェブを勉強したことは無く、ゼロからのスタートでした。
齊藤:今を客観的に捉えてみて、自分は「〇〇役なら任せてください!」と言えるようになったと思いますか?
森山:制作能力的にはまだまだ基礎レベルです。ただ、カンボジアに住んでいないとわからない現場の事情がたくさんあるので、それが役立っていると思います。実際の現場に身を置いて、ウェブ制作を依頼される方と一緒に何をどうやって発信してゆけばいいか、工夫してゆけることにやりがいを感じてやっています。
ただ、ここではウェブ制作者として比較できるライバルがいないので、制作面での個性は自分でも把握できていないなと感じます。パパっと絵を書いた時に、「森山さん絵が上手だね〜」なんて言われたりすると、自分の知らなかった良さというか、強みが見えてくることを知りました。
■すべてを自分でやるのが、フリー
齊藤:仕事をする上で大変なことはなんですか?
森山:当たり前のことなんですが、一人でやっているので、全ての役職を自分一人で負わないといけない点です。例えば、デザイナーとしての私はここをもっとこうしたい!って思うんですけど、ディレクターの私が、「はい、時間ですよ〜。それ以上やるとコストが必要以上にかかりますよ〜。」って言ってくるんです(笑)。私はあんまり器用じゃないので、いまだにそういうのに戸惑いながら作業しています。
齊藤:楽しいことはなんでしょうか?
森山:いっぱいあります!自分のできることを増やせたときや、完成したものが依頼された方に満足してもらえたときなどです。
齊藤:作った自分のサイトが見られているってことも、楽しいって思いますか?
森山:思います!アクセス解析とかもやっているので、数字として上昇傾向が見られると嬉しいですよ。
齊藤:今後はどうされるおつもりですか?まずはオーストラリアへのワーキングホリデーですよね?
森山:そうなんです。ワーキングホリデーは、カンボジアでゲストハウスの経営に携わっている関係で、一度体験しておきたいと思っていました。その後はカンボジアにまた戻ってくるつもりですが、あんまり先までがちがちに考えず、やりたいことを順番にやろうという感じです。
あとは今は、依頼されてウェブページを制作するのがメインなので、「どうすれば日本の人に伝わるか」が重要だったんですが、これからは「日本からどんな情報が求められているか」も意識して、自分でコンテンツを作ることも考えています。たとえばカンボジアに興味がある人にもいろいろいて、遺跡が観たいとか、ボランティアしたいとか、投資をしたいとか様々です。
でもカンボジアの現地の立場からすると、その興味と一緒に最低でも知っておいて欲しいことが、まだまだ日本の人に理解されていないなと感じます。カンボジアと日本の両方が、お互いがハッピーになれればいいなぁと考えています。
■他人のせいにはしてはいけない
齊藤:最後に若者に一言!
森山:後悔のない人生を送って下さい。「〇〇のせいで、こうだった」っていうと、一生引きずると思うんですよ。例えば「家庭の事情でやりたいことができない」って人がいっぱいいると思うんですけど、それって大げさに言えば「家庭を困らせてまでやることじゃない」って自分で判断してるとも言えますよね。カンボジアに住むなんて、どこの親だって心配するし、モメるほうが普通なんじゃないですかね。だから、家庭の優先を「自分で選んでいる」と考えたほうがいいと思います。ちなみに私はカンボジアに来る際、特に親から言われることはなかったのですが、友達から「まゆぴー、お母さんすっごく心配してるじゃん!」って又聞きしたり(笑)。私自身、自分のしたいことを選ぶために、目をつむったものもたくさんあると思っているので、そういったことを忘れずにやっていこうと思っています。
私はカンボジアに来て、もちろん苦労することもありますけど、それは自分が選んで来たわけですから、納得できるんです。もし、人に言われて仕方なく選んだ道だったら、辛いことが起こったときに人のせいにするかもしれないじゃないですか。だから、自分で決めて、自分で行動することが大切だと思います。
齊藤:なるほど!本日は、ありがとうございました!!
ー編集後記ー
これまでインタビューさせていただいた方の中では、一番若かったのが、森山さんだった。年は1つしか違わないにも関わらず、自分一人でカンボジアという土地で生計を立てている姿は、正直カッコイイなと思った。じゃあ自分ができるか?と言えば、きっとできないからだ。
印象的だったのは、最後の他人のせいにしてはいけないという言葉だった。内定を蹴り、自分で決めてカンボジアに来た。その後も日本での就職ではなく、自分で決めてカンボジアでフリーのウェブデザイナーを始めた。そして、今回のオーストラリアのワーキングホリデーも自分で決めた。
人は、他人のせいにしたくなる動物だ。社会に出ると、「仕方がない」「しょうがない」「みんなが、していることだから」という言葉を使って他人のせいにしようとし、同時に自己正当化を図ろうとする。私も、森山さんみたいに自分で決めることをして、他人のせいにしない生き方をしたいと心から思う。
そういえば、「他人のせいにしちゃいけないよ」って、私の尊敬する矢沢永吉さんが、糸井さんとの対談の中で言っていたな・・・。
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