大切な人の死の悲しみを和らげる、たった1つの方法
引き継ぎ・引き継がれる関係を作っておく
大切な人の死。想像できないような悲しみ、怒り、恐怖が襲ってきます。そんな状況を少しでも受け入れ、少しでも和らげる方法があるとしたら・・・。そのヒントは、大切な人との「引き継ぎ」にありました。
今回は、流通ジャーナリスト故金子哲雄氏が妻と取り組んだ、「引き継ぎ」の方法を紹介したいと思います。
今回は、流通ジャーナリスト故金子哲雄氏が妻と取り組んだ、「引き継ぎ」の方法を紹介したいと思います。
引き継ぎ・引き継がれる関係を作っておく
大切な人の死の悲しみを和らげるには、「引き継ぎ」の関係を生前より作っておくことが重要になります。そのポイントは、3つ。
①報・連・相の実施
②どんな時でも「ありがとう」を伝える
③横にいて、同じものを見つめ、相手を理解しようとする
①報・連・相の実施
どんな関係であれ、お互いを尊重し、信頼するには、最低限の報告、連絡、相談は必須です。その日の予定や予定の変更、頼まれごとの完了報告などを常に行います。これらは決して相手を束縛する目的ではありません。既述通り、互いを尊重し、信頼するためです。
「今日は、17時には家に帰る」
「内容は言えないけど、難しい仕事に関わることになった」
「例の仕事をトラブルになった」
などなんでも構いません。とにかくお互いの状況を常に把握しあっていることが重要になります。
そして、状況に応じて相手に、
「大変だったね」
「大丈夫?」
のように気遣いの言葉をかけてあげることも大切です。
「今日は、17時には家に帰る」
「内容は言えないけど、難しい仕事に関わることになった」
「例の仕事をトラブルになった」
などなんでも構いません。とにかくお互いの状況を常に把握しあっていることが重要になります。
そして、状況に応じて相手に、
「大変だったね」
「大丈夫?」
のように気遣いの言葉をかけてあげることも大切です。
②どんな時でも「ありがとう」を伝える
自分のために何かしてくれた時、その行為に対して感謝の言葉を伝えます。
「〇〇スーパーまで買い物に行ってくれてありがとう!」
「今日のご飯、とっても美味しいね!ありがとう!」
など表現方法は問いませんので、相手が投げた球に対して、常に反応する(=ここでは「ありがとう」と言う)ことが大事になります。
常に反応することが習慣化していくことで、
自分自身がいなくても、
「彼なら(彼女なら)こんな風に言うだろうな/こんな風に反応するだろうな」
ということが分かるようになります。
常に反応することが習慣化していくことで、
自分自身がいなくても、
「彼なら(彼女なら)こんな風に言うだろうな/こんな風に反応するだろうな」
ということが分かるようになります。
③横にいて、同じものを見つめ、相手を理解しようとする
相手が何を考えているのか、どういう価値観で物事を見つめているのかを常に理解しようとしましょう。人間は常に変化する生き物です。例えば結婚当初の彼と、10年後の彼では、人は一緒でも考え方・感じ方は変わってくるものです。常に相手を理解しようと努め、変化し続ける中でも同じものを見つめようとすることが必要です。
変化を無視すれば、「分かっているつもり」という自分本位の判断になってしまいます。そうではなく、相手のことを本当に理解し、相手本位での判断にすることが大事です。
変化を無視すれば、「分かっているつもり」という自分本位の判断になってしまいます。そうではなく、相手のことを本当に理解し、相手本位での判断にすることが大事です。
引き継ぎから生まれるもの
「引き継ぎ」の関係から生まれるものは、
・死んだ人が側にいる感覚
・生と死の境は一本の線であり、ただ単に「この世」から「あの世」サイドに移るだけという感覚
この2つです。
生前に引き継ぎを行うことで、大切な人がたとえ亡くなってしまっても、常に側にいる感覚が生まれます。それは、大切な人が生前に常にどのような生き方をしていたのか、どのような反応をしていたのかを理解しているからだといえます。
そして「死」がすべての終わりではなく、「あの世」サイドに移るだけであり、大切な人は生き続けているのだという感覚が、悲しみを和らげてくれるのです。もし、自分自身の死後についても大切な人と話し合っていたならば、なおさら悲しみは和らぐでしょう。なぜなら、いずれ自分が「あの世」に行った際に、大切な人とどのように人生を歩むかが共有されているのですから。
「死」を無理やり受け入れる必要はありません。大切な人を亡くした人自身が、死者との新しい関係を意識することで、必要以上に悲しみ過ぎないことが大切なのです。そうすることで、気持ちが外に開かれ、前を向いて進んでいくことができるのです。